2019-10-13

「香川プライドウィーク2019」の覚え書き。#3


 「香川プライドウィーク」と銘打つからには、メインイベントだけやって終わったのでは面白くない。早い段階で、トークセッションを開催するというのはぼくの中でも決まっていた。(パレード直前の「決起集会」という位置付けで。)
 7月5日の「結婚の自由をすべての人に」訴訟第2回期日の時だったか、虹色ダイバーシティの村木真紀さんが「丸亀レインボーパレード行きますねー」と早々に宣言してくださった。また、東京プライドパレードからは杉山文野さんも来ることになっているという情報が入っていた。全国的に有名な活動家の方たちが、ここ丸亀市に集結するのだ。この機会をみすみす逃すつもりはない。
 しかし、彼らにギャラを払って登壇してもらうような予算はない。それならばと発想の転換を経て、香川県内で活動している地元の活動家たちにその足取りを語ってもらうことにした。

 「プラウド香川」代表の藤田博美さんは高松を拠点に、もう24年も地道な活動を続けている。そこから派生した「香川レインボー映画祭」も、今年15年目を数え中断することなく続いている。
 2018年に「OUT IN JAPAN SETOUCHI」を開催することになって立ち上げた「瀬戸内LGBTプロジェクト」代表の高野晶さんも、県内の色々なところで講演活動を行っている。トランスジェンダーに対するハローワークの対応に問題があり、高松で最初に声を上げたのは彼女だ。
 高松市との協働企画提案事業や、主に学校などでの講演活動を行っているのは「あしたプロジェクト」の福井瑞穂(ハナメガネ)さんと谷昂頼さん。2016年の立ち上げからまだ3年しか経っていないにも関わらず、その講演数はどこよりも抜きん出て多い。
 そして今年、丸亀市のパートナーシップ制度が保留になったのをどうにか進めようと「丸亀レインボーパレード」を企画した藍川逸美さん。彼女の心意気は、ほんとうにカッコいい。
 手前味噌ながら、「結婚の自由をすべての人に」訴訟原告の田中昭全と川田有希のゲイカップル(我が川田中家)。
 これらの人たちが一堂に集まるのだ。面白くないはずがない。そして演題は「香川のLGBTシーンについて」とした。

 ぼくは、「都会」と「地方」という手垢にまみれた二元論がすきではない。そうやって対比させて、「都会は生きやすい / 地方は生きにくい」とする安易な暴論にどれだけ振り回されただろう。いつしかそれ自体が『偏見』となってしまった。
 現に、香川県内のこの状況をどう解説するのか。これだけの人たちが、この地方にあって、ちゃんと活動している。顔も名前も隠さずにね。
 「極めてレアなケースだ」と言われればそれまでだろう。しかし、香川県という保守的な地方に暮らすからこそ、声を上げざるをえない状況にあった。そんなわたしたちはむしろ『真っ当』なのではないか。ぼくは、そういう想いの方が強い。
 大手のメディアは、LGBTをめぐるそんな香川県の動向をどこも把握していない。だからこそ、このトークセッションで香川のLGBTシーンを俯瞰できたことは、何より意味のあることだったと思っている。


左から、川田中家(川田中商会)の田中昭全と川田有希、プラウド香川の藤田博美、瀬戸内LGBTプロジェクトの高野晶。



いちばん左にあしたプロジェクト代表の谷昂頼、手話通訳さん2人挟んで、いちばん右に同じくあしたプロジェクトの福井瑞穂(ハナメガネ)。



中央が丸亀レインボーパレード代表の藍川逸美。


 ただひとつ、心残りが。高松でラジオパーソナリティとして活躍している木村アンリさんがこの場に居ない。オファーはしたものの、結局スケジュールが合わなかった。彼女はトランスジェンダー当事者として、県内の企業などで講演活動をしてきた。ちゃんと確認したわけではないが、プラウド香川が講演活動を本格化するよりも前からやっていたのではないかと思う。ぼくは、彼女の話もぜひとも交えたかった。次の機会をうかがうことにしよう。

ラジオパーソナリティの木村アンリさんと。田中は一時期、ラジオ局の音響オペレーターをしていた。そこで一緒に働いていた同志でもある。


0 件のコメント:

コメントを投稿