2018-05-03

Eテレ「ハートネットTV」についての補足。


 先日放送されたEテレの番組「ハートネットTV」。川田中家のふたりも取り上げられていました。
 1日目には写真とメッセージが。2日目には丸亀市の同性パートナーシップ制度が見送りになった際の報告会にて、ぼくの話したコメントが動画で流れました。
 特に後の回は、地方の保守的な現状が端的に表されていて、「LGBT」という言葉が市民権を得たつもりになっていた地方の当事者たちも、もう一度、背筋を伸ばさざるをえない内容になっていました。
 番組をみていただいた一部の友人から、保守的な丸亀市の対応を批判する声もちらほらと聞こえてきております。しかし、これだけは誤解がないよう書いておきたいと思います。
 丸亀市においては昨年度、丸亀市長の梶さんと人権課の皆さんがものすごく協力的に動いてくれました。当事者の声を少しでも反映させたいという思いで、複数回に渡る勉強会を市役所内で開催いただき、ぼくらはプラウドの仲間たちとその期待に応えんべく、仕事を休んでまで登壇しました。短い時間でしたが、毎回入れ替わりで30〜40人程度の職員さんが聞いてくださり、質疑応答などの活発なやり取りもありました。皆さんが一番に懸念していたのは、役所の窓口にLGBTの方が来られた場合、どう対応すればいいのかという、より具体的なところが知りたかったようです。どう扱われたいかはそれぞれのセクシュアリティで違うので、個別に対応するしかないという旨を話させていただき、さらに各々のセクシュアリティを掘り下げることで回答としました。
 もちろん、短い時間でしたので職員さんたちがどれくらい理解してくださったかは、なかなか推し量ることができません。それでも、そういう問題があるのだという認識だけは、しっかり持っていただけたように思います。
 一朝一夕で結果が出るものではないと思います。なので、ぼくらも公的機関で話す機会があればできるだけ出向くようにしております。社会の不理解から、本名や顔を堂々と出すことに抵抗のある当事者が大半の中、ぼくとパートナーは地方にあってもオープンに発信しております。それは、それができる環境にあるというのがまずひとつですが、それ以上に次の世代が少しでも生きやすくなるよう、下地作りくらいはしておきたいという思いがあってのことです。
 正直なところ、そういう色々なんかすっかり放り投げて、自分たちの生活に集中したいというのはいつもあります。なかなか結果の出ないLGBTの問題に、ここまで労力を奪われることが馬鹿馬鹿しく思うことすらあるのです。しかし、これは他でもない自分たちの問題なのです。今投げ出しても、後々苦労するのは目に見えてます。
 地方でオープンにしていると、あちらこちらから「ぼく/わたしも実はそうなんです!」という声がぼくらの元に届きます。しかし、彼らはまだオープンにできない深刻な問題が多々あり、ぼくらもそれを顧みないわけにいきません。結果、可視化には何も結びつかなくて、もやもやすることの方が多いです。それでもぼくらが発信を続けるのは、孤立している人を1人でもなくしたいからです。彼らが絶望しないよう、ぼくらは希望であり続けたいと思います。
 川田中家に限って言えば、川田は今現在も丸亀市民です。居住地を一緒にするメリットがないので、彼は丸亀市民のまま三豊市でぼくと一緒に暮らしています。田中の方はずっと三豊市民です。そして、ふたりの終の棲家として購入した中古住宅も、実は三豊市内にあります。だから、丸亀市で同性パートナーシップ制度が施行されたとしても、ふたりが使うことはまずありません。ぼくらが訴えないといけないのはむしろ三豊市の方なのですが、状況が整っていないこともあってまだ保留中です。(別のカップルが昨年同じ市内に見つかったので、その人たちの状況が整い次第、共に行動を起こす予定はあります。)
 そして番組1日目の回でぼくらがメッセージしたように、今回議論されているこの制度はあくまでひとつの足掛かりなのです。施行されたとしても、ふたりの老後に関わってくる重要な問題は何ひとつクリアできないのですから。だからこそ、まずは地方自治体がこの制度を整備することが、最初の一歩になると考えています。
 いつか、家族になりたい同性同士が法的なところでも『家族』となれる日がやって来ますように。ぼくらはそれを願いつつ、これからも発言を続けようと思います。



*今週は、東京のプライドウィークです。「LOVE&EQUALITY -すべての愛に平等を」というテーマで、様々な講演会やイベントなどが催されています。ハイライトはパレードです。東京の大通りを、様々なセクシュアリティの人たちが平等を訴えて練り歩きます。川田中家はあいにく参加できないのですが、気分だけでもと思いSNSのアイコンをそれ仕様にしてみました。アクションのご成功を、香川の片田舎からお祈りしております。


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