2016-03-22

「z et n 展 2016」第4週目の解説 [43]-[56]

[56] 夏が近づく Early Summer
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 絵の中に波打ち際がありますが、ぼくの描く海はたいてい瀬戸内海です。子どもの時から穏やかな内海しか知らないので、たまに太平洋や日本海の荒波を目にすると心底びっくりします。絵って、そういう生まれ育ちが如実に表われますね。
 ちょうどいま佐々木マキさんのムック本を読んでいるのだけど、この絵なんか彼の描いてたナンセンス漫画に似てるよなあとふと思いました。彼の漫画作品をちゃんと目にしたのはこれが初めてなので、あくまで他人のそら似でしょうが。共感するところ、多いです。





[55] ひとかけら une miette
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 高知の「miette」というカフェで描きました。食べたケーキやドリンクをそのまま描いてます。
 カフェの内装もさることながら、ケーキそれ自体があまり食べたことのないタイプだったので印象に残ってます。芸術的と申しましょうか?高知に足を運ぶ際にはぜひ行ってみてください。





[54] 蜂蜜酒を飲んだらポーランドの大自然が身体の中に拡がった the mead was made in poland
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-54-mead-made-in-poland.html
 ドイツ人の友人がお土産にくれた蜂蜜酒(ミード)を飲みながら絵を描いたら、こうなった。まさに、お酒がぼくにもたらせてくれた世界観。
 ぼくのパートナーのお義父さんは養蜂をやっていて、たまにその現場を見せてくれる。そこいらの花からほんのわずかな蜜をこつこつと集めてきて、最終的にはあれだけの量にするのだから、蜜蜂はほんとに働き者だなあと毎回感心する。それを、ぼくらがいただくのだ。もちろん、すべて採りきってしまうと蜜蜂たちが生きられないので、人間がいただくのはあくまで余分だ。その精神がまたすてきだなあと思う。
 それに手を加えて、さらにお酒を作るわけだ。つまり、花と蜜蜂と人と酵母のコラボレーション。そう考えると、蜂蜜酒ってとても贅沢な飲みものですよね。
 もらったものは終ぞ飲みきってしまったので、近々同じ銘柄のものをどこかで購入したいと思う。お酒をそんなに飲まないぼくには、蜂蜜酒を寝る前にすこしたしなむくらいがちょうどいいのかもしれない。
 初出は、今回の「z et n 展 2016」メインヴィジュアル。この絵でチラシを作って、よく行くお店で配布してもらおうとも思っていたけど、毎日の更新にてんやわんやしていたら、もうすでに最終週じゃないですか!残念ながらこちらも、幻のチラシになってしまいました。






[53] 寓話の世界へ It's an allegorical world
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-53-its-allegorical-world.html
 世界というのは常に、象徴でできている。ひとつひとつのディテイルを普遍化すると、全てが寓話になる。ただ、矛盾が多い。視点が違うと、どちらにも取れるということなんだろう。
 初出は、プラウドの会報の表紙。






[52] ぼくの心象方程式 I solve a psychological equation
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-52-i-solve-psychological.html
 初期の一時期、赤と黒の2色を使って絵を描いていたことがある。その中の1枚。
 高校が理系のためか、或いは幼い頃から論理的思考をしてしまう癖か、心理的なことでも何か方程式があるのではないかという思い込みが常にある。もちろん、そんなものはないのだけど…。それでも、より近い解を導き出したいと常に考えてしまう。これはもう、性分としか云えない。
 菊地成孔が作詞した野宮真貴の曲に、こんなフレーズがある。
「数学者のパパが言ってた / エレガントっていうのはね / 一番シンプルで綺麗な / 証明の事なんだ」
そんなふうに生きられたらいいな。





[51] 夜のピエロ the clown in the night
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-51-clown-in-night.html
 黒を効果的に使えたと思う絵。白と黒の分量はこれくらいの比率が理想なんだけど、ベタ塗りよりも細い線のテクスチャがすきなのでどうしても白くなってしまいがち。
 初出は、グループ展「うららおとくちのMIKANプロジェクト」チラシ。こちらは、デザインする時に青と赤の2色に変更した。ぼくの絵は元が白黒なので、これくらいの色数じゃないと映えない。






[50] 植物刺繍 plant patterned embroidery
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-50-plant-patterned.html
 裁縫や洋裁に興味がある。これまでにも幾つか手縫いで作った。パートナーとおそろいの襟巻きに、リネンのコート。着古したリネンのナイトシャツをリメイクしたり、襟首ののびたボーダーTシャツをリメイクしたりもした。ただし、刺繍はまだやったことがない。そう遠くない未来、挑戦してみようと思っている。
 初出は「ホームメイド展2013」のチラシ。


 




[49] 犬とぼく 2 my dog and me 2
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-49-my-dog-and-me-2.html
 まだ犬を飼っていない時に描いた絵。耳のカタチなんか愛犬とそっくりなので、ちょっとした予知絵になった。縁の巡り合わせって不思議。





[48] わたしのお気に入り My Favorite Record
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-48-my-favorite-record.html
 今週末開催するイベントのために、つい最近描き下ろした作品です。レコード鑑賞会なので、人物がレコードを持ってます。このヴィジュアルでチラシを作成する予定だったんですが、この個展があまりにも大変すぎて、今回は作るのあきらめました。SNSを駆使して招待送ったりシェアお願いしたり告知はしましたが、果たしてお客さんが来てくれるのかどうかちょっとドキドキです。これを読んだ人は必ず来るように。
 *イベントの詳細はこちら→ http://onekoan.blogspot.jp/2016/03/blog-post_19.html





[47] 気づかないうちに流れ星が通り過ぎる Nobady knows a shooting star was gone
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-47-nobody-knows-shooting.html
 長いタイトルってそれだけで1編の詩みたいだから、すき。このタイトルはまさに、絵ありきの詩情だけど。絵とタイトルはいつも、補い合うように心がけているつもり。
 ちなみに、長いタイトルの歌でいちばんすきなのは、小泉今日子の「月は何でも知ってるくせに知らん顔して輝いている」です。彼女自身が作詞を手がけた密かな名曲です。ホッピー神山の、歌謡曲とは対極にありそうな編曲がまたすてき。





[46] 夜の隙間に crevice in the night
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-46-crevice-in-night.html
 黒が、もうすこしうまく使いこなせるようになりたい。線画がすきなので、ほっておくと線ばかりの絵になってしまう。
 点の集積は、線になる。線の集積は、面になる。白と黒の2色しかないのだから、簡単だと思う人も多いのかもしれない。しかし、それほど単純な話ではない。それは、描けば描くほど解かるようになる。





[45] 伝えたいこと I have something tell you
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-45-i-have-someting-tell-you.html
 多くの人が勘違いしている。コミュニケーションの問題において、伝えるべきことが伝わっていないというケースは確かにあるけど、実はそれ以前に、伝えるべきことを伝える側がちゃんと把握できていないというのが多分にある。言語化するという行為は、普段何気なく考えていることを整理して抽象化することだから、整理できていないままでは伝えようがないのだ。その不備が原因ですれ違うことは、これまでにも往々にしてあった。
 ことさらに日本人は、『空気を読む』傾向にある。言語化されていないものを、相手の素振りや口ぶり、感情表現から繊細に読み解くのを得意としている。だからこそ、それさえ巧くやれない人間には、とかく生きづらい社会だろう。
 ぼくもまた、そういうタイプだ。必要以上に論理的なので、言語を使ってどうにかしたいと考える。話せば解かると思っているがゆえに、相手が『空気を読む』タイプであった場合には相当なずれが生じる。ぼくの人生には常に、そういう問題がついて回る。
 むしろ、絵を描き始めたのはそういう『空気』を自分なりに捕まえるためなのかもしれない。言語化される前の、漠然としたイメージ。それをそのまま、漠然と表現することに意義を見出している。だからこそ、タイトルをつける時の落差たるや相当なものである。まさしく、整理することで切り捨てられるものが相当あるんだろう。





[44] 育てるために必要なこと necessary things
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-44-necessary-thing.html
 植物を育てるには、ものすごい根気が必要だ。種をまいて、水をやって、発芽して…。そこからも、ちゃんと育つかどうか…。花が咲いて、また種や実ができるようになるまでには、必要なものがたくさんある。人間が与えられるものだけではない。繊細な条件の何もかもが如実に反映される。
 人間もまた、同じなんじゃないかな?多様な人や出来事や価値観や場所に、どれだけたくさん触れてきたか。そういう経験の全てが、その人の人となりになる。
 この絵は、友だちのバンドのライブを聴きながら描いた。「Harvest of music」と題されたライブで鳴っていたのは、まさに彼らが収穫したばかりのみずみずしい音だった。しかし、そのライブでバンドは活動を休止してしまう。長い休養期間に入ったのだ。
 彼らが再びバンドとしての音を鳴らす頃には、それまでの間に経験した全てのことが音に反映されているだろう。ぼくはそれを楽しみにしている。





[43] ふたりの庭を作ろう two gardener
http://zen916.blogspot.jp/2016/03/z-et-n-2016-43-two-gardener.html
 この絵は、ぼく(上)とぼくのパートナー(下)を描いたもの。まさしく、その通りの絵が描きたかったので。最初から最後までぶれずに描けた作品。




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