2016-03-01

「z et n 展 2016」第1週目の解説 [1]-[14]

[14] 海のおはなし stories of the sea
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 線が踊る。風景がたくさん見える。そこここに、物語が隠されている。
 初出は、プラウドの会報の表紙。








[13] 南国舞踊 dance of the island
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 図らずも、南国風の女性が描けた。ハワイか、沖縄か。島であることは確かだ。
 比較的、女性の方に好評だった作品。
 初出はオリジナルポストカードか、地域の文化祭プログラムの裏表紙。






[12] 以心伝心 telepathic communication
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 ぼくには珍しく、人物を複数描いた作品。基本的にぼくの絵は、一個人の心象宇宙なので、他者が介在することはまずないんだけど、たまには挑戦して描いてみる。しかし依然、3人以上の人物が登場する絵を描いたことがない。そのうち挑戦はしてみたい。
 ひとつの絵にふたり以上の人物が登場すると、どうしてもそこに人間関係を想起してしまう。このふたりは恋人?友だち?兄弟姉妹?現実的な感じがして、ぼくはそこがどうにも馴染めない。だから、最終的にはまた『ひとり』の絵に戻るのだ。
 初出は、「プラウド」というグループの会報の表紙。







[11] 月夜の台所で林檎のジャムを作ろう I'm making jam from the apples on the moonlight night.
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 「ホームメイド(自家製)」がテーマのグループ展を、毎年開催している。現代人がおろそかにしがちな家仕事(例えば保存食作りとか、お菓子作り、編み物やお裁縫、日曜大工や工作など…)の延長線上にこそ、ほんとうのアートがあるのではないかというぼくの信条から始まったもの。毎年、たくさんの人に参加いただいている。参加者の大半は、アーティストなんていう肩書きとは無縁のところでものづくりをしている。そこにはただ、『すきだから』という至極単純な動機があるだけだ。ぼくも多分に、そちら側の人間。(便宜的に「アーティスト」という肩書きは使っているけども。対外的な自己紹介をする時に、しっくりくる他の云い方がいまだ見つからないので。)
 この絵は、記念すべき第一回目の「ホームメイド展」で、チラシに使った作品。タイトルを「ホームメイド」にしようかとも考えたけど、あまりに漠然とし過ぎていたので、最終的にはこんな長ったらしいタイトルになりました。ちなみに、日本語タイトルと英語タイトルで微妙に言い回しが違うのには意図があります。はっきりした説明はできないけど…(情報量の違いかなあ?気の利いた語数で詩情を込められるかどうか?)。








[10] 珈琲時間 coffee time
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 ぼくが珈琲を飲むようになったのは、20代も中頃である。それまではずっと、紅茶派だった。
 珈琲にこだわりのある友人のカフェで、珈琲はあまり得意でないという話を店主としていて、それならとサービスで淹れてくれたのがハワイのコナという珈琲だった。一口すすって、感動した。美味しい珈琲とは何なのか、それでようやく理解できるようになった。それ以来、カフェでは珈琲(ちゃんと豆から淹れてくれるもの限定)、家では紅茶を飲むようになった。
 この絵は、カフェイベントの広告のために描いた。またしてもカラー。カップの中身はもちろん、珈琲である。







[09] 夏の風 Summer Breeze
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 ぼくの絵は、白黒の印刷物に使うことが多い。だから普段は、どうしても白黒で描いてしまう。ただ時々、カラーを求められる仕事もくる。そういう時は、えいやと果敢に挑戦する。これは、そんなふうにして完成した作品のひとつ。
 水色と黄色を取り合わせたのは、「エルマーとりゅう」という児童書のことを思い出したから。(正確には、青色と黄色なんだけど。)ちなみに、渡辺美里に「LUCKY」という大すきなアルバムがあるんだけど、そのスリーヴ写真も「エルマーとりゅう」を意識した(と、ご本人がラジオで云っていた。)2色使いだった。
 初出は、フリーペーパー「ばすけっと」の表紙。
 






[08] 洋梨 a pear
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 友だちのお母さんが、見事な洋梨をくれた。それを絵に描いた。まさに、日記のような作品。
 初出は、オリジナルポストカーかプラウドの会報の表紙。






[07] 庭園ティーパーティ tea party in my garden
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 行きつけのカフェで絵を描いていると、必ず誰かに話しかけられる。話題は絵のことから始まって、連想ゲームみたいにあちらこちら。楽しいお喋りに花が咲く。そういう時間がぼくには大切。絵の世界にひとりで閉じこもるだけなら、自宅でもできる。わざわざ外出して描くのは、すこしでも別の世界を絵に取り込みたいからなのだ。
 この絵も、話しかけてくれた人がいたく気に入っていた。自分ではそうでもなかったのに、そういう感想を聞いてしまうとやはり、愛着が増す。
 初出は、DJイベントのチラシ。(ぼくはDJも時々やってます。)

 






[06] 花のように like a flower
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 「花のように」というタイトルで真っ先に思い出すのは、矢野顕子とPSY・Sの歌です。いやただ、それだけ。
 この絵も、自分の中では山名文夫の影響下にあって出てきたものだと思っている。
 初出は、レコード鑑賞会のチラシでした。







[05] ロンドンの夜はまだ明るい The night is still bright in London
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 夏にロンドンを訪れた時、夜の9時になってもまだ明るいことに衝撃を受けた。サマータイム(夏時間)というのはこういうことかと、文字面だけで解った気になっていたことがようやく腑に落ちた。この絵は、そんなロンドンの夜にパブでお酒を飲みながら描いた作品。普段と違うペンを使ったら、ちょっとタッチが変わった。そこも気に入っている。
 初出は、個展「空想スケッチ展」のポスター。







[04] 萌芽 sprout
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 昭和の頃の、資生堂デザインがすきだ。特に、山名文夫が新聞広告のために描いた素晴らしい線画の数々。ぼくはそれに、多大な影響を受けている。これは、そんな作品のひとつ。
 当時の広告が、写真ではなくイラストを多用したのは、複雑な印刷技術にコストがかかるからなんだろうけど、化粧というものを『顔のキャンバスに描く行為』と考えたら、イラストで消費者のイメージを補完するのは的を得ているような気もする。
 初出はオリジナルポストカード。





[03] 眠る林檎 sleeping apple
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 絵というのは不思議なもので、見る人によって良いか/悪いかの価値基準が全く異なってくる。ある人はそれをすきだと云い、ある人はダメだという。同じ絵であるにも関わらず、それくらい反応が違うのだ。描き手の自分にも良い/悪いはあるから、自信のある作品を胸はって出した時に絶賛の反応を期待するのだけど、実際はそんなこと起こりえない。最初こそがっかりしたものの、今ではすっかりそんなもんだと思えるようになった。
 この絵に関しても、作者自身の評価はそんなに高くない。しかし昨年、挿絵の仕事をいただいた時、本の表紙を飾ってしまった。それはたぶん、デザイナーさんの価値基準。この出来事はぼくにとってすごく意外で、驚きかつ面白い経験になりました。
 いつか、自分の作品集を作りたいと考えている。その時、作品の選定まで自分でやるのか?それとも、第三者に任せるのか?それで、出来上がる作品集もだいぶ違ってしまうんだろうな。







[02] 植物採集 plant collecting
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 最近、「絵が変わったね。」と云われることが増えた。それまでは孤独な印象だったのが、すこしにぎやかになってきたらしい。なるほど、そう云われてみればそうかもしれない。近作はこんな感じ。
 植物のディテイルがとにかく気になる。葉っぱや実や枝ぶりなんか、絵を描いているとき視界に入ったら、思わず描き入れてしまう。ただ、正確であることにはあまりこだわらない。実在しない架空の植物なんかも混在させている。絵が記号であるという所以は、そこだ。
 初出は、先月開催したレコード鑑賞会のチラシでした。







[01] はじめの第一歩 my first step
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 絵が思うように描けなくなった10代の終わりから、ぼくは長いスランプに陥った。絵での自己表現をあきらめつつあったある日、何気なく落書きした自分の絵に終ぞ気づかされた。「そうか!絵は記号なんだ!!」うまく描かなければいけないという長年の呪縛から、解き放された瞬間だった。記念すべきその落書き。今でもホームページ http://www.niji.jp/home/popula-/index.html のトップに置いている。

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