法律上の同性同士でも結婚ができるよう国会議員に理解を求めて開催している院内集会「マリフォー国会」も、先日で早5回目を迎えました。わたしたちもこれまでに何度か出席しているのですが、その度ごとの報告はなかなかできずに来ています。今回は、世の中の流れがおかしな方向に向かっているという懸念もあり、所感をしっかり書き残しておこうと思います。
昨日（2023年6月23日）、紆余曲折を経て「LGBT理解増進法」が施行されました。LGBT当事者には待望の法律で、みんなが祝福しているんだと思い込んでいる方も多いんじゃないでしょうか？しかし、今回の法律は素直に喜べない様々な問題をその成立過程に内包してしまいました。
日本で『差別禁止』を謳う法律には「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」と、俗に人権三法と呼ばれる法律があります。何のことはない、ここにLGBTを包括する「SOGI差別解消法」が入って、人権四法になれば何でもなかったんです。
2021年、東京五輪を目前に控え超党派で審議された法案の名前は「LGBT理解増進法」でした。「あれ？」とは思ったものの、まあ、超党派で議論しているのならまだ大丈夫だろうと思えていました。しかし、国会提出を目前にした法案審査の場で、自民党内の保守派議員が差別発言を伴った異論を連発。議会は紛糾し、結局、成立しませんでした。法案は棚上げされたまま、国会が閉じたのです。
そして、G7が開催された今年2023年。加盟国から再三に渡って促される形で、法案の審議が再開されました。2021年の法案を良い方向にブラッシュアップしたなら良かったのですが、近年SNS上で流布されているデマ言説やヘイトスピーチを念頭に置いたひどい改変がなされ、それがそのまま可決されてしまったのです。審議会に呼ばれた参考人が、そのデマ言説を臆面もなく語ったことも問題でした。中継放送を見守っていた多くのLGBT当事者が、心を痛める結果になりました。
わたしたちも成立直前、地元の放送局から取材を受けました。正直、今回の法律がどういうふうに機能するかは分かりません。そもそも、実効力の伴わない理念法です。ただ、これまでは法律のどこにも「LGBT」という言葉がなかったことで、わたしたちの存在自体が『ないもの』として扱われてきた歴史があるわけです。そう考えると、ないよりもまだあったほうが良いのかしらとも思います。しかし、その審議過程が……腑に落ちないままいまだ脳内は堂々巡りしております。
そういうわけで、ひどく歯切れの悪い受け答えに終始してしまいました。
今回の「マリフォー国会」は、連日に渡って頭を悩ませてきたそういう背景もあり、わたし自身も何を語るべきか明確にできないまま臨みました。いざ会場で、色々な方の話を聞くにつれ、やはりわたしたちは制度としての婚姻を適用してほしいのだと強く思いました。「LGBT理解増進法」がLGBT以外の人たちに向けられた法律とするならば、「法律上同性同士の婚姻」はまさにわたしたちに直接効果をもたらす法律なんだと。そういう観点から、スピーチさせていただきました。
しかし、思いのほか自分の中に『怒り』が押し込められていたみたい。喋りながら声が震えていたことに自分でもびっくりしました。先述した「SOGI差別解消法」という法律のあり方を今一度考えてほしい旨と、わたしたちは決して『分離政策』を望んでいるわけではないということをはっきりお伝えしました。特に『合憲』判決を出した、不名誉な大阪地裁判決が「同性カップルに婚姻を適用させるのか、それともまた別の制度を新たに作るのかは立法による議論が必要」としたことを受けて、わたしたちはそもそも「婚姻」の代替え制度を求めているわけではないことをはっきりと主張しました。『人権』が何たるかをちゃんと学んだ人なら、アメリカの公民権運動がどういう過程を辿ったか当然知っていると思うのですが、日本の司法ですらそれを理解していない判決を出しているわけなので、ここいらでしっかり釘を刺しておかなくてはと思いました。
また、わたしたちはわりと近年まで同性カップルのモデルケースをなかなか見つけられずにいたのだけど、実は自分の両親こそが「婚姻」という制度に守られて、ふたりで補い合いながら生きていたことが原風景としてずっとあったんだということもお話ししました。感情的になっていたからか、なかなかうまく言語化できなかったんですけど。
g-lad xxさんが今回のマリフォー国会について詳しく取り上げてくださっているので、そちらもぜひご参照ください。
そして、G7が開催された今年2023年。加盟国から再三に渡って促される形で、法案の審議が再開されました。2021年の法案を良い方向にブラッシュアップしたなら良かったのですが、近年SNS上で流布されているデマ言説やヘイトスピーチを念頭に置いたひどい改変がなされ、それがそのまま可決されてしまったのです。審議会に呼ばれた参考人が、そのデマ言説を臆面もなく語ったことも問題でした。中継放送を見守っていた多くのLGBT当事者が、心を痛める結果になりました。
わたしたちも成立直前、地元の放送局から取材を受けました。正直、今回の法律がどういうふうに機能するかは分かりません。そもそも、実効力の伴わない理念法です。ただ、これまでは法律のどこにも「LGBT」という言葉がなかったことで、わたしたちの存在自体が『ないもの』として扱われてきた歴史があるわけです。そう考えると、ないよりもまだあったほうが良いのかしらとも思います。しかし、その審議過程が……腑に落ちないままいまだ脳内は堂々巡りしております。
そういうわけで、ひどく歯切れの悪い受け答えに終始してしまいました。
今回の「マリフォー国会」は、連日に渡って頭を悩ませてきたそういう背景もあり、わたし自身も何を語るべきか明確にできないまま臨みました。いざ会場で、色々な方の話を聞くにつれ、やはりわたしたちは制度としての婚姻を適用してほしいのだと強く思いました。「LGBT理解増進法」がLGBT以外の人たちに向けられた法律とするならば、「法律上同性同士の婚姻」はまさにわたしたちに直接効果をもたらす法律なんだと。そういう観点から、スピーチさせていただきました。
しかし、思いのほか自分の中に『怒り』が押し込められていたみたい。喋りながら声が震えていたことに自分でもびっくりしました。先述した「SOGI差別解消法」という法律のあり方を今一度考えてほしい旨と、わたしたちは決して『分離政策』を望んでいるわけではないということをはっきりお伝えしました。特に『合憲』判決を出した、不名誉な大阪地裁判決が「同性カップルに婚姻を適用させるのか、それともまた別の制度を新たに作るのかは立法による議論が必要」としたことを受けて、わたしたちはそもそも「婚姻」の代替え制度を求めているわけではないことをはっきりと主張しました。『人権』が何たるかをちゃんと学んだ人なら、アメリカの公民権運動がどういう過程を辿ったか当然知っていると思うのですが、日本の司法ですらそれを理解していない判決を出しているわけなので、ここいらでしっかり釘を刺しておかなくてはと思いました。
また、わたしたちはわりと近年まで同性カップルのモデルケースをなかなか見つけられずにいたのだけど、実は自分の両親こそが「婚姻」という制度に守られて、ふたりで補い合いながら生きていたことが原風景としてずっとあったんだということもお話ししました。感情的になっていたからか、なかなかうまく言語化できなかったんですけど。
g-lad xxさんが今回のマリフォー国会について詳しく取り上げてくださっているので、そちらもぜひご参照ください。
【結婚の自由をすべての人に】全国5ヵ所の判決が出揃ったことを受けて院内集会が開催 | ゲイのための総合情報サイト g-lad xx（グラァド） https://gladxx.jp/features/2023/social/8721.html
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