2019-03-21

「結婚の自由をすべての人に」訴訟応援パーティーを日記でふり返る。




2019年3月15日(金)

 本日、本業は納品のみ。
 残りの時間で、明日のパーティーに使うスライドと、レコード鑑賞会のチラシをデザインする。チラシは量産後、LazybonesとTetugakuyaに持って行く。興味のある人が手に取ってくれたらいいな。


 夕方、PUPAへ。


 できたてほやほやのチラシを渡して、簡単に晩ごはんをすませる。
 移動。
 明日からの東京旅行を前に、愛犬つぶ(手前)を友人宅にあずける。ここにはつぶの姉妹犬あわび(後方)がいるので、退屈はしないはず。


 四国学院大学ノトススタジオへ。
 今夜は観劇。前回の公演ではぼくが音楽を担当させてもらった「コキカル」の新作公演を観る。


 劇団の主宰と演出を手がけている桐子カヲルさんは、元々舞踏系の劇団に所属していたダンサーで、香川にUターン後は自分の作品をコンスタントに発表している。
 当初はぼくも、今回の作品に関わる予定だったのだけど、他の諸々があまりにも忙し過ぎて、結局練習を1回観ただけで終わってしまった。それでもパンフレットには「協力」とクレジットされていて、ひどく申し訳ないことをしてしまった。
 「ライフ」と題された今回の作品は(否…今回の作品『も』と言うべきか?)、桐子カヲルの真骨頂。パントマイムあり、ダンスあり、歌や会話劇もあり、影絵もあり、舞台上のオブジェやクラフト作家の起用、ピアノやトイピアノやおもちゃの楽器をたくさん使って演奏する音楽家。すべての要素が、彼女の作品を『彼女の作品』たらしめている。 
 それぞれのシークエンスには、言葉による説明がない。明文化されることでこぼれ落ちてしまうものを、ひとつたりとも逃がしてなるものかという彼女の執念を見る。
 しかしそれも、最後の最後にすべてひっくり返されてしまうのだけど。(ここでは詳しく書かない。)

 終演後は、友人カップルと近所のバーNashvilleへ。軽くおしゃべりをする。

 帰宅後、有希よりホワイトデイの焼き菓子をもらう。「ほうじ茶ブラウニー」。今日はせっせと1日、お菓子を焼いていたらしい。「ありがとう。」


 明日は早いので、就寝。




2019年3月16日(土)

 目覚まし時計は午前5時。すっきり起きて、旅の荷物を整える。
 有希の職場に車を置いて、タクシーでJR宇多津駅まで。そこから電車で瀬戸大橋を渡り、岡山から新幹線に乗る。
 新幹線の中ではゆっくり眠れるかと思っていたのだけど、スライドの台本が未完成なので、そちらを優先して作る。


 何とか書き終えたのはいいけど、弁護士さんたちから指定された6分には到底収まる気がしない。まあ、いっか〜(よくない)。
 12時16分、JR品川駅に着く。そこから在来線に乗り換えて、五反田駅へ。
 今日は「ランチミーティング」らしく、各自お弁当を持ち込んでおしゃべりしながら食べるのだそうだ。もちろん何も用意していないので、スーパーの成城石井でお弁当を買う。有希が選んだシンガポール風ラクサがあまりにも美味しそうだったので、ぼくも同じものにする。他には、エビの入った生春巻きも。
 会場着。早速お洒落なデザインの入り口。


 ぼくは全く知らなかったのだけど、会計ソフト「freee」という会社のオフィスが今日の会場なのだそうだ。
 弁護士の三輪さんに到着の挨拶をする。
 すでにSNSでつながっていた他の原告の方や、最前線で動かれている方が挨拶に来られる。スマホやPCの画面でしか見たことなかった人たちが、今ぼくの目の前に居る!軽く感動を覚える。
 そんなこんなしていたら、昼食を食べ終わるのがすっかり遅くなってしまった。給食がなかなか食べ終わらない小学生みたいな気分で、一気に流し込む。
 会場の一角に、ネイルサロンのブースが出ていた。原告さんたち(もちろん女性ばかり)がやってもらっているのを傍目にしていたら、東京原告のひとりであるおのはるさんが「やってもらったら?」と提案してくれる。


 有希が先にやってもらってたんだけど、やっぱりぼくもやってもらうことにした。


ぼくらは結婚状態になって今年12年目になるけど、タイミングを逃しまくっていて、いまだ結婚指輪を作れていない。せめてもの左手薬指に、おそろいでこうなりましたとさ。


 ネイルをしてもらっている間に、会場は満員。支援者の方たちが続々と集まってくれた。
そうしてついに、イベント開始。
 事前にアナウンスがあったデンマーク大使のスピーチをはじめ、アイスランド大使、オランダ大使と続く。どの国も早くから、パートナーシップ制度や同性婚があった国だ。
 オランダ大使の方なんかは、まさにこのスピーチの後、同性パートナーとの結婚式が控えているらしい。何だかぼくらも、うれしい気持ち。
 その後は、政治家からの応援コメントが続く。国に対して国家賠償を請求する訴訟に、その政治家側が応援コメントを出すというのもどこか倒錯している感あるけれども、今回賛同くださった各政治家においては、1年以内に国会における質疑や超党派で勉強会などを行って、その本気度をしっかり示していただければと思う。間違っても『やってるフリ』だけは勘弁願いたい。
 賛同くださった政治家の記事に関してはこちら。

野田聖子議員が、同性婚への支持を表明。「日本の未来をより明るくするカギになる」 

https://www.huffingtonpost.jp/entry/equal-marriage-event-politicians_jp_5c8d68c3e4b03e83bdc1a87d

 形式的な挨拶が延々と続き、いいかげん飽きてた。そこに、原告紹介タイム。
 当初、1組7分とされていた持ち時間は、前日、6分に縮められた。しかし、スライドをすると決めて早くから準備していたぼくらは、もう後に引けない。「時間配分なんか知ったこっちゃないわー。ってーか、政治家の挨拶よりこっちがメインやろー!」と強行する。
 題して、「川田中家の12年」。子どもの時の写真から始まり、愛犬の出産エピソード、ふたりの家を自力で改修している際の写真や、地元で展開しているアート活動。もちろん講演活動なども。
 『誰得』なのか、知らん。けれども、ゲイカップルであることをオープンにして香川の片田舎で生息している希少な生きものの生態がどんなかについては、とてもよく解ってもらえたでしょう。
 ぼくらも当日まで知らなかったんだけど、ぼくらのすぐ後に登場した大阪原告のまちさん&テレサさんカップルもスライドを用意してた。まさに、大阪原告2組による「のろけあい大会」と相成りましたとさ。


 休憩時間に、とある男性から挨拶を受ける。「はて、誰だろう?」と話を聞いていると、また別の訴訟を行っている原告のひとりだった。彼は外国人で、云10年連れ添った日本人の同性パートナーといま引き離されようとしているのだ!同性同士が婚姻を結べないことで、男女間ではいとも容易く取得できる「配偶者ビザ」が、彼には下りない。制度の欠陥が招いた典型的なケースだ。
 彼らのニュースは逐一追いかけていたものの、まさかご本人に会えるとは思わなかった。些細までは語らなかったけど、同じ制度を求めている同志なのだと、彼の顔を見ながら強く思わされた。

 名古屋の原告、東京の原告と自己紹介が終わり、ゲームタイム。スマホでエントリーして、「婚姻の平等」に関する4択問題が進行する。上位3名は、豪華景品がもらえるという。
 にぎやかしのつもりで、ぼくらも参加する。始まって数分も経たないうちに、有希が「本気でやるよ!」と宣言したので、「じゃあぼくもそうしようかな…」と本気モードに移行する。質問が終わるごとに回答の上位者が表示されるのだけど、テレサの名前を頻繁に見かけたので、「おおー彼女も本気か!」とついにぼくも火がつく。
 結果、上位3人に川田中家のふたりともが入ってしまった……さすがの『やっちまった感』。ひんしゅくを買ってしまうので辞退したかったんだけど、今更そういうわけにもいかず……。結局、景品いただきました。皆さま、ごめんなさひ。
 とは言えさすがにもらい過ぎなので、たぶん健闘していたであろうテレサに、ぼくの分を進呈する。

 すべてのプログラムが終わり、支援者の方たちと交流し、足を運んでくれていた東京の友人カップルにも挨拶をし、記念撮影をし、会場の片づけを手伝う。


 その後、2次会へ。「わん」という居酒屋の個室にて、詰めっ詰めで会食。
 東京の原告カップルも、名古屋の原告カップルも、大阪の原告カップルも。面白いくらい、それぞれに違う。しかし、求めているものは同じ。婚姻の平等。それだけは確かだ。

 ホテルにチェックインして、3次会は新宿3丁目へ。最近できたばかり(たぶん)のお店で、延々とおしゃべりをする。話は、尽きない。そうして、夜は更ける。
 ホテルに帰ったのは、深夜0時40分過ぎ。「お疲れさん。」


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