2019-03-02

提訴を日記でふり返る。



2019年2月13日(水)
 仕事のお昼休み、愛犬を友人宅へあずけに行く。数日離れるだけなのに、すでに寂しい。


 提訴が明日の午前11時からなので、明日の早朝こちらを出ても間に合いそうなものだけど、当日にばたばたするのがイヤで、今夜中に大阪入りする。仕事を早めに切り上げて、荷造り。洋服はいつも、何を持って行くべきか迷う。
 パートナーの職場に車を駐めて、パートナーのご両親にご挨拶。「行ってきます。」パートナーのお母さんに、最寄りの駅まで送ってもらう。
 新幹線は早い!あっという間に大阪。


 晩ごはんは、ワイン飲み放題のお店へ。見かけで意外に思われるが、ぼく(右:田中)はアルコールに弱い。パートナー(左:川田)こそ、底なし。
 そんなこんなで、ホテルにチェックイン。明日に備えて身体を休ませる。そのために、大浴場のあるホテルを選んだのだ。これは大正解。


2019年2月14日(木)
 ヴァレンタインディに同性婚関連の提訴なんて、弁護士さんたちも相当ロマンチックだよね。
 ホテルは朝ごはんをつけなかったので、近くのカフェへ。


 おされカフェずきとしては、とてもよかった。名前がまた、ね。
 通勤ラッシュの交差点をのんびり眺めながら、朝ごはん。平日に、出勤する人たちをはた目にゆっくりできるのは『いい気味』なんだけど、今日は遊びじゃないのだ!朝からどことなく緊張している。


 もっとゆっくりしていてもよかったのだけど、気ばかり焦ってしまう。ぼくの提案で早めに移動。大阪地方裁判所へ。



 入り口で持ち物検査がある。空港みたいだ。ぼくはカバンの中に、筆記用具一式を常備しているのだけど、そこにハサミとカッターを入れていた。ゲートを抜けたところで指摘され没収。帰りに返してくれるという。引き換えのチケットをもらう。
 

 ロビーなのに、めちゃくちゃ寒い。そして、建物がひどく殺風景。殺伐としてる。それですっかり、気分が萎えてしまった。「えいやあ!」って、自撮りしてテンションを上げる。
 待ち合わせ時間が近づいているのに、誰も来ない。いやまあ、ぼくらが早く来すぎたんだけど…。弁護士さんに電話をする。もう建物の中に居る旨を伝えると、「そのまま待っていてください」と言われる。
 合流。もう1組の原告カップルさんと、初めましてのご挨拶。仲良くなれそう。
 報道向けの撮影があるからと、弁護士さんたちに促され再び外へ出る。なんと、ニュースでよく見る入廷の映像は仕込みだったのだ!すごい数の報道陣を前に、どういう顔をすればいいのかよく判らない。


KSBのニュースから、画像をいただきました。最近覚えたばかりのスクショ。)
 とにかく、寒かった。ふたりして、コートの襟をぴったり上まで閉めていた。
 弁護士さんたちの血と汗と涙の結晶である書類は、ぶじ提出されました。すごい量!


 午後からの記者会見に備えて、もう1組の原告カップルさんとランチを食べに出かける。


鴨のすき焼きランチ!美味しゅうございました。店内には山口一郎さんの絵が掛かっていて、「こんなところに!」と思う。



 午後1時30分より、大阪地方裁判所内の記者クラブにて記者会見。


 香川で散々取材受けてたから、特に読み原稿は用意していなかったのだけど、まさかの最初にぼくの出番があって、あまりに緊張していたがゆえにしどろもどろになりながら話す。質疑応答に関しては、いつも通り平常心で受け答えできたんだけどね。


 質疑応答の時間が延長したけど、記者会見はぶじ終了。弁護士会に用意していただいた控え室に移動。個別に、メディアからの取材を受ける。


 控え室があまりに絶景なので、Marriage For All Japanのパネルを持って記念撮影。



 午後6時過ぎ、コミュニティスペースdistaにて応援パーティ。もう1組の原告カップルさんもやって来て、大阪の3原告が集結する。
 会場に集まった人たちは、様々な想いを抱えてた。当事者もそうだけど、当事者の家族の方やクローゼットの方も。アクションの反響を、そこで初めて思い知らされた。
 ぼくはと言えば、ほとんど聞き手に回っていた。というのも、連日の取材攻撃で疲れてへとへとだったのと、たぶん知恵熱が出てた。頭がじーんと痛い。
 しかし、賛同者の話を聞くのもぼくらの役割だ。そこで託されたそれぞれの想いを、ぼくらは大切にしたい。
 他の当事者に会ったことすらなかったクローゼットの子が、「わたしとパートナーはこの関係を誰にも知らせず、ひっそりと死んでいくのだと思っていた」という発言をした時、ものすごく胸を締めつけられた。若い子たちはもっとカジュアルに生きているのだと思い込んでいた四十路には、ショックも大きかった。
『そうだ!ぼくらの若い頃と、結局は何も変わっていないのだ!!』



 ちょうど同じ頃、東京や名古屋や札幌でも応援パーティをやっていた。Skypeがつながって、エールを送り合う。ぼくが代表で、大阪会場の様子を伝える。
「大阪会場は、とてもあったかい空気に包まれています。」
 映像越しに、東京の原告さんが見える。OUT IN JAPAN SETOUCHIでお世話になったただしさんが、ぼくらに手を振っている。心底、心強く思った。


 会場内の人たちがまんべんなく発言して、ぼくらはその想いを受け取る。これから訴訟が進む中で、折に触れて思い返すだろう。今夜のことを。
 弁護士さんたちや虹色ダイバーシティの村木真紀さん、オープンにできる支援者の方たちと記念撮影をする。会場にはこの何十倍も人が居たのだけれどね。


今回のために、オリジナルロゴのチロルチョコを作ったらしい。まさに、ヴァレンタインディ!



 集会終了後。「せっかく大阪に居るのだから、美味しいたこ焼きが食べたい!」というパートナーの一声で、すぐそばのたこ焼き屋へ行く。


「よかったねー美味しいたこ焼きにありつけて!」
 その後、昼間ご一緒していた原告カップルさんが二次会しているところへお邪魔する。彼女たちともすっかり仲良くなれた。うれしい。



 さすがの疲労困憊。解散後、パートナーとふたりで居酒屋へ。ちゃんとした晩ごはんを食べ、連泊しているホテルに戻る。
 就寝したのは、深夜2時過ぎ。





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