川田中商会の川田有希と田中昭全は、2019年2月4日(月)三豊市役所に婚姻届を提出しました。しかし、『男性同士の婚姻届は不適法であるから受理することはできない』として、不受理になりました。
結婚状態になって12年目に入ったこのタイミングで、「自分たちの生活に一番近い制度って何だろう?」と考えるようになりました。そして、それはやはり「婚姻」なんじゃないかと改めて思い至ったのです。
今はまだ若いので、深刻な問題がすでに発生しているという状況にはないのですが、例えばこれから10年20年と連れ添っていく中で、身体はおのずと衰えていくわけです。その時にぼくらは、互いをパートナーとしてケアしていかなくてはならないのですが、同性同士だと法的な家族と見なされないわけです。同じ家に長年暮らし連れ添ったとしても、戸籍上は
どこまでも『赤の他人』なわけです。パートナーとの関係性に決定権が持てないというその歪みは、老後の生活にも多々影響するでしょう。
一世代前の同性カップルは、「養子縁組」を選ぶケースがありました。しかし、戸籍上に記載される続柄は「親」と「子」です。対等に結ばれたいぼくらは、それじゃないという気持ちの方が強いのです。
2015年7月7日、全国455人の当事者が「同性婚が認められないのは人権侵害だ」として、日弁連(日本弁護士連合会)に人権救済申立てを行いました。ぼくとパートナーもそこに名前を連ねています。あれからすでに3年の月日が経ちますが、日弁連からの回答はいまだにありません。
2019年の初頭、弁護団の弁護士さんから連絡がありました。『同性同士で婚姻できないことは「法の下の平等」を定めた憲法14条に反するとして国を相手取った訴訟を起こそうと考えている。おふたりもその原告になりませんか?』と。ぼくとパートナーは彼らの話を聞くなり、ふたつ返事で了承した。
正直、重いです。図らずもぼくらは「原告」となり、国を相手取った損害賠償を行うわけです。ふたりでただ静かに暮らしたいだけなのに、それを法的に認めてもらおうと行動を起こしたらこんな大ゴトになってしまう。
ただ、同じだけの心強さもあります。全国で13組のカップルが2月14日の同日同時刻に一斉提訴すること。また、素晴らしい弁護士さんたちがついてくれていること。身近な友人たちがみんな応援してくれていること。メデイアの注目度も高く、日本での議論がようやく始まったという実感が持てたこと。
全国の地方自治体が、こぞってパートナーシップ制度を施行してくれていることもよい追い風となっています。(2019年1月31日時点で、11の地方自治体で施行されていて、全国では計349組のカップルが登録している。[虹色ダイバーシティ調べ])
ぼくらも当初は、パートナーシップ制度が議論されている丸亀市で婚姻届を提出する予定でした。しかし、自分たちのお家が三豊市にあることや三豊市のLGBT施策が遅れていることも念頭にあったので、最終的には敢えての三豊市で提出することを決めました。
三豊市役所市民課の職員さんは、ぼくらの言い分をしっかり聞いてくれました。その上で婚姻届の審査がなされたわけですが、残念ながら『不受理』という結論が伝えられました。結果は予測できていました。しかしどこかで、一縷の望みを抱いていたことも確かです。「ほんとうに必要としている当事者のぼくらが、ちゃんと婚姻届を書いて提出するのだから、もしかしたら……」今回、原告となる当事者カップルの多くが、婚姻届を出したと聞いてます。彼らも同じようにその希望が打ち砕かれたのだと思うと、そこはかとなく悲しい気持ちになります。
何はともあれ、ぼくらは提訴することを選びました。自分たちのためではあるけど、後に続く世代のためでもあります。いつか、同性同士の婚姻が許されていなかったことが笑い話になるように。
10年先の未来を見越して、ぼくたちは大阪地裁に出向きます。応援ください。
署名を集めています。賛同される方はよろしくお願いします。(同性婚人権救済申立の時の署名とはまた違うものです。前回協力いただいた方も、再度ご協力いただけたらと思います。)
[川田中家の参考記事]
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