2026-06-02

サウザンブックス社から出る「LGBTヒストリーブック日本編」に川田中家も取り上げられています。


 クィア・スタディーズを自分なりに続けてきて、俯瞰できる日本のLGBT活動史がまとめられていないことに危機感を持っていた。1970年代から活躍している人たちはだいぶご高齢になっている。鬼籍に入られた人もちらほらといる。証言を集めて、第三者的な視点から総括することは、日本のLGBT史においてとても重要なことではないか。わたしはそんなことを、メディアからインタビューを受けるたび発言していた。
 「結婚の自由をすべての人に」東京ニ次訴訟が始まったタイミングで、編集者でありライターでもある原告の山縣真矢さんとご縁が繋がった。その問題意識は山縣さんも同じだったようで、いつかそんな本をまとめたいというような話を聞いていた。
 「サウザンブックス社」というLGBTがテーマの本ばかりを扱う出版社があり、2023年初頭にはぶじクラウドファンディングが立ち上がった。3年が経った2026年の今年には、そろそろと痺れを切らした出資者が「あれはいつ出版されるのか?」と心配になってSNSに投稿したりしているのを見かけるようになった。そのタイミングで、ようやく完成したという公式アナウンスがあり、わたしは他人事ながら心底安堵した。
 こういう本はどこまで客観的に掘り下げるかが問題になってくる。人間と人間が関わってきた運動の歴史である。また、案件によってはだいぶ時間が経っている。歴史としてまとめる以上、その整合性については慎重に慎重を期さないといけない。むしろ、3年でよくここまでまとめられたものだと感心している。
 わたしは、香川県で長く活動してきた「プラウド香川」の代表である藤田博美さんのインタビューに同席する機会をいただいた。その後にも一次資料を提供してもらったりと、綿密なやり取りが重ねられたらしい。
 手前味噌ながらこの本には、わたしとパートナーの名前も出てくる。2015年7月7日の「同性婚人権救済申立て」について(p.311)と、2019年8月25日の「丸亀レインボーパレード」について(p.284)、「結婚の自由をすべての人に関西訴訟」について触れた終章(p.346)の3箇所に。こうやって、紙媒体の歴史書に名前が入るというのはやはり、感慨深いものがある。2人の足跡は、もう『なかったこと』にはならない。
 同時に、地元香川の活動史については大まかな概要だけしか掲載されていない。就職差別にあい高松市長に直談判した高野晶さんや、企業に対するLGBT講師の先駆者でなおかつラジオパーソナリティーである木村アンリさん、LGBT当事者やアライの居場所「虹LAB観音寺」を早くから作っていた塩田章仁さんの名前は取り上げられていない。そういう意味で、やはりまた別の誰かがより詳細な地方の運動史を書き残さないといけないのではないかと、そう思うようになった。全国版ではどうしたって限界があるのだろう。執筆の可能性について、わたしも探ってみようと思う。
 何はともあれ、サウザンブックス社から発行される「LGBTヒストリーブック日本編」は、2026年6月15日に書店での一般販売が始まる。先立って手に入れたい方はサウザンブックス社のネットショップにて先行販売中なので、そちらからどうぞ。




「LGBTヒストリーブック日本編
 平等を求めて声をあげた人々の闘い」

2026年6月15日 第1版第1刷発行

編著者:山縣真矢
著者:後藤純一・山賀沙耶・山田秀頌・小西優実
発行所:株式会社サウザンブックス社
定価:本体3300円+税
ISBN978-4-909125-72-9
C0036


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