2024-06-26

川田中商会の新作オリジナルTシャツをBOOTHにて販売しております。その15



 同性同士の結婚が日本でも実現するよう訴訟という形で司法に問うている川田中家ですが、その過程で日本国憲法について学ぶ機会が多くありました。知れば知るほど、現在の憲法はよく出来ていると思います。
 わたしたちが特に『推す』のは憲法14条です。

「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。」

 あなたは、当たり前のことを書いていると思うでしょうか?しかし、現実はそう単純ではありません。互いを人生のパートナーだと思い合っているわたしたちも、現状、国が性別を理由に結婚を認めてくれないわけです。ここに書かれている『当たり前』のことが、わたしたちには適用されません。これを差別と呼ばずに、何を差別と呼ぶのでしょうか?
 もちろん、昔は「同性婚」など考えもよらなかったでしょう。数が少ないことを理由に異端者扱いをし、立法の場でも取り扱われることはほとんどありませんでした。しかしその片隅で、同性同士のパートナーシップは太古の昔から存在していたのです。歴史上の人物に事欠かないエピソードを列挙していけば、みんな驚くはずです。
 同性愛や同性同士のパートナーシップをタブー視し始めたのは、わりと近代になってからのことです。それはまさに、『産めよ増やせよ』と子どもを戦争の駒としか捉えていなかった時代の弊害でしょう。それにも関わらず、男女が結婚する際においても「必ず子どもをもうけること」という条件は課されません。何らかの理由で子どもができない男女カップルにも、結婚という制度は適用されます。また逆に、同性カップルで子どもを育てている人たちに結婚は適用されません。つまり、「婚姻」という制度の本質は子どもの有無に関係がないのです。
 同性婚は、21世紀になって始まりました。2001年のオランダを皮切りに、人権先進国で次々と導入されていきました。四半世紀が経とうとしている2024年現在、世界の37ヵ国ですでに実現しています。
 一方、日本では2015年に地方自治体が同性パートナーシップ証明制度を導入して以来、法的効力のないこの制度は苦肉の策として多くの自治体が取り入れる結果となり、現在は日本人口の80%超をカバーする制度にまで成長したものの、国による法的効力を伴う「同性婚」に関しては歴代の首相が「慎重に検討する」と何度もお茶を濁したまま、いまだ導入される気配すら見えません。幾度か国会に提出された『婚姻の平等』法案も、棚上げにされたままです。差別を解消する気はさらさらないのでしょう。そうでないのであれば、あまりにも無能すぎます。



 日本国民の大多数が、憲法と法律の区別すらついていない事実には開いた口がふさがりません。為政者が権力を濫用しないよう為政者をこそ縛る最高法規が「憲法」なのに、なぜか自分を権力者と同一視したい輩がことさら憲法を貶めようと躍起になっています。一言目には「憲法改正」を謳う彼らには、それが本末転倒であることも分からないようです。
 それもそのはず、日本では人権や民主主義政治を教える専門科目がありません。現代社会で申し訳程度やるくらいで、道徳は人権と似て非なるものだし、そもそも政治的な話題を忌避する傾向は長年変わりません。テーマとして触れないこと自体が立派に政治的な行為なのだけど、日常会話で政治について語ろうもんなら雑に「意識高い系」扱いです。そういう輩には言いたい。「あんたが意識低すぎるんだよ!」
 日本という国が、戦争責任を放棄し続けてきた結果でもあるのでしょう。ノンポリの皮を被った被害者根性をどうにかしないことには、何も変わりません。

 この国の『民度』に、何度がっかりすれば『変わる』のでしょう?選挙時の投票率の低さや、ポピュリズム政治を批判的に見れない思考の浅さ。誰かが配慮している政治的正しさを揶揄してこき下ろす醜悪さ。有識者のフリをしたタレントが、その辺にある陳腐な判断材料だけでさもそれが正論かのように語る厚顔無恥さ。そういった現実に触れるたび、日本の将来には何の希望も抱けないような気分になります。
 ただ一方で、より若い世代は人権先進国の傾向をよく把握しています。それは、SNSなどを通して最新の思考に触れる機会が多いからなのかもしれません。世界に通用するカッコよさみたいなものを、自分ごととして消化できているのだとうれしいな。わたしはそういう若者と連帯したい。



 話題は変わりますが、すこし前に京都-奈良方面を旅しました。立ち寄ったとあるお寺の墓地に、憲法の条文を刻んだ墓石が立っているのを川田が見つけました。失礼に当たると思い、詳細については確認しなかったのですが、そのお墓に入っている方は生前「弁護士」か「裁判官」だったのかもしれません。死してなお、憲法を力強く掲げるその生き様に感動を覚えました。
 それをたまたま見かけたことで、わたしの中にひとつのアイデアが生まれました。

『意図のよく分からない英文字がプリントされているTシャツを着るくらいなら、誇れる憲法の条文をTシャツにして身につければいいんじゃない?英訳文をカッコいい字組でシンプルなデザインにすれば、誰もが抵抗なく着れるんじゃないかしら?憲法を若者向けにブランディングするというのも、すてきかもしれない。』

 何週間かアイデアを温めていたのだけど、先日ようやく形にしました。何より、自分でも着たいデザインになったように思います。
 ほんとは日本語でも作りたいのですが、それはもっとセンスのある人に任せようと思います。(とか言いながら、ちゃっかり作ってたらすいません。わたしの中に確かなアイデアが下りてきたら、作るかもしれません。)また、別の条文に思い入れがある人はぜひ自分でも作ってみてください。みんなが憲法を着て街を歩くさまは、すてきだろうなあと思います。
 合言葉は、「憲法を着て、街に出よう!」かな。ムダに寺山調。



 そんなわけで、これが憲法14条のTシャツです。

 
 Tシャツの名前はそのものずばり「憲法14条」。サイズ展開はスタンダードタイプで[S][M][L][XL]。色の展開は[ホワイト][ブラック][レッド][ピンク][ターコイズブルー][ロイヤルブルー][グリーン][イエロー][ネイビー][バーガンディ][ナチュラル]になります。シルクスクリーン印刷です。

販売は川田中商会のBOOTHページにて。



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